キハ24系 快速「アイリス」号 と 瀬棚線

長万部 -  函館 間を結んでいた、快速「アイリス」号です。

記録当時の運用車両は、なんの変哲もない、北海道用二重
窓装備の一般形気動車だったので、サボの記録しかありま
せんが、列車の生い立ちについて、触れたいと思います。

キハ24 コ色時代の 快速「アイリス」号
快速アイリス_1
▲この日は キハ24 の ファーストカーでした

快速「アイリス」の前身は、国鉄末期まであった「瀬棚線」
直通の、急行「せたな」が ルーツ となります。

▼かつてあった「瀬棚線」の路線図
瀬棚線
(出典:日本交通公社 時刻表 1982.11)

瀬棚線とは、函館本線「国縫駅」(長万部町)から分岐し、
渡島半島を横断して「瀬棚駅」(久遠郡せたな町)に至る
48.4 Km の路線で、函館との直通列車として、瀬棚 - 函館
間に 急行「せたな」号 が 運転されていました。
(但し 瀬棚線内 は 普通列車)

▼急行「せたな」が走っていた時代の 瀬棚線時刻表
    (出典:日本交通公社 時刻表 1982.11)
瀬棚線_時刻表_198211
▲瀬棚線内は全て普通列車で函館本線側で直通車を併解結

 地方ローカル線のいわゆる「盲腸線」は、本線から離れた
 末端区間ほど、利用客が先細りとなるのが常ですが、瀬棚
 線に限っては、長万部側よりも、瀬棚側の方が列車本数が
 多いという異例の路線でもありました。

▼今はなき「瀬棚駅」の入場券
瀬棚駅入場券
1984年2月 に、急行「せたな」が 快速列車 に格下げされ
ましたが、函館直通列車はそのまま残されました。

▼快速時代の「せたな」のサボ
せたな_サボ
→当時の映像はこちら 
(YouTube Hobby videos 39 さま)

瀬棚線は、国鉄再建法による第2次廃止対象路線に指定され、
1987年3月に 廃止となったことから、快速「せたな」の代替
列車として 函館 - 長万部間 に 快速「アイリス」が運行され、
そのバントを引き継いだのでした。

▼1日1往復でしたが 専用のサボ が 用いられていました
アイリス_2
▲末期は サボの運用 も 単純になってきました

そんな「アイリス」も、2000年に下り列車が、2016年に
上り列車が、それぞれ普通列車に格下げされ、北の大地か
ら、ひっそりと消滅しました。

下り列車が先になくなり、以後16年間も 上り列車のみの
片道運転となった愛称付の列車は、大変珍しい存在でした。


          *  *  *


【キハ24 保存車の軌跡
 札沼線 太平駅北方の 国道231号線沿いに、キハ24-2 が
 保存されていました。
 別サイト「保存車のページ」に 保存の記録があります。
 残念ながら2015年に解体されてしまい、現在は前面のみ
 を、個人で保管されているようです。
 

モデルの世界では、キハ24 時代 の 快速「アイリス」号を、
Tomixさんの製品 で 再現できますね。


キハ24系 快速「アイリス」号 と 瀬棚線
おわり