103系1200番代 ~Nモデルの工作意欲を湧かせた 走る電熱器~
中央線・総武線と、営団東西線の相互乗り入れ用として投入
された 103系1200番代 です。
当初国鉄は、地下鉄乗り入れ用として、オールアルミカーの
301系を投入していましたが、コスト等の問題から地下鉄用
の増備車は 103系でまかなう方針に変更され、千代田線用は
1000番代、東西線用は 1200番代 が 投入されたのでした。
▼JR化後、冷改・青帯 に変更された時代の1200番代車の姿

▲冷房化率100%を目指して、冷改工事の工期短縮とコスト
を抑える目的で、AU712形分散クーラーを搭載しました
千代田線用の1000番代との相違は、ATC装置とその装備方
で、1000番代にはATC装置の他、常磐線用無線と千代田線用
誘導無線電話を装備する必要がありました。
そのため、常務員室背面にこれらを「併設」することとなり、
乗務員室の奥行が「拡大」されたことから、乗務員室扉後部
の戸袋窓がありません。
一方、1200番代は ATC装置のみのが運転室内に装備された
ため、乗務員室の寸法は地上形非ATC車と変わらず、乗務員
室扉後部の戸袋窓が存在します。
両車の運転台には、ATCの車内信号 が 設けられています。
▼写真はありませんが、一時期一部の先頭車の運行番号幕が
白抜き文字に交換された車両がありましたが、他車へ普及
することなく終わっています

▲基本設計は 103系ですが、地下線用の AーA基準 に基づき、
正面に貫通路、床下電気配線のダクト化と一部機器の移設、
不燃・難燃化、客窓の非全開化 が 行われました
また モハ103の主抵抗器は自然通風式に、ATC運転に備えた
多段式制御で、無接点化されたCS40に、MGは M車比率
が高いことから小容量の10kVA化に、また湿気やホコリに強
いブレーキ部品が用いられるなど、地下鉄線での運用に特化
した装備となっていました。
▼三鷹電車区で並んだ 歴代の東西線乗り入れ車

▲晩年期は 運行番号表示が LED化 されていました
E231系800番代 は 先輩達より一回り小さく見えますね
ちなみに301系・103系側のM車率が高いのは、営団地下鉄
との協定により、起動加速度が 3.3 km/h/sと設定された為、
これを担保するために必要不可欠だった訳ですが、実はこの
値も、当初投入された301系においてM車比率を高めて何と
か辿りついたものだったらしく、以後もこれが標準的な仕様
として、用いられているようです。
* * *
主抵抗器の自然通風式は、トンネル内の騒音防止には効果的
でしたが、M車比率が高かったこともあり、停車中に床下か
ら地味に漂ってくる「熱気流」の熱さには、少々驚きました。
また、冷改後の夏場には、クーラーからの温風がトンネルの
天井から跳ね返ってくる場面も加わり、上から下から、熱を
まんべんなく発する、正に "走る電熱器" 状態となりました。
■もけい鉄 雑談
冷改&青帯仕様の103系1200番代がお目見えした時代に、
Nゲージでも再現したくなり、GMさんのキット・パーツ
と、KATOさんの 初代103系製品をベースに、雰囲気を楽
しむ「タイプモデル」の工作意欲が湧いたことから、実車
の中から6両をチョイスして、自力で誕生させたのでした。
▼それがこちらです(かれこれ四半世紀前に工作したもの)

▲三鷹方 クモハ102 の方向幕には「三鷹」を設定
運行番号はJR車の運用を示す「K」で「03K」を設定
工作基本スタンスは「タイプモデル」なので、プロトタイプ
に忠実に寄せるといった細部の作り込みは行っていませんが、
1200番台を彷彿させる姿の再現は、必須としました。
・貫通路付顔の制御車(GM 103系改造パーツを利用)
・クモハ102 の 設定(床下機器のMGは冷改後の大型仕様)
・モハ103 の 自然通風式の主抵抗器と屋根上パンタ横へ配置
されたヒューズ箱の設置
・10両化の際 組成された サハ103 の設定(フル形式を網羅)
・インバータークーラー(分散型)搭載車を一部に設定
▼想定した工作編成図

▲中間車4両は、モデラー仲間から譲渡された KATOさんの
初代103系(全て色違い)がジャンク箱で遊んでいたため
これを活用することとし、両端の制御車のみ当時GMさん
から発売されていたクハ103の高運転台2両セット(屋根
と車体が一体成型されていたキットだったかと)を追加購
入して前面を103系改造パーツで移植することにしました。
▼クモハ102-1203

▲車体・屋根・クーラー・床下=GM、台車=KATO
▼モハ103-1209

▲クーラー・床下=GM、車体・屋根・パンタ・台車=KATO
▼サハ103-430

▲クーラー・床下=GM、車体・屋根・台車=KATO
▼モハ102-1206

▲クーラー・床下=GM、車体・屋根・台車=KATO
▼モハ103-1208(モーター車)

▲クーラー・動力ユニット・床下=GM、
車体・屋根・パンタ=KATO
▼クハ103-1203

▲車体・屋根・クーラー・床下=GM、台車=KATO
▼西船橋方 クハ の方向幕には「西船橋」を設定

・塗装は GMさんの 鉄道カラースプレー を吹きました
・形式番号は GMさんのインレタ から拾い構成しました
・塗装とインレタの保護も兼ねて、クリアーを吹いています
・アップで見ると粗だらけですが、ド素人ではこんなもんで
チョイスした6両の実車のクーラーは、サハ のみが 集中型
のようですが、見た目のバラエティーさもねらったことから、
分散型のインバータークーラー搭載車は、中間に組成される
M+M´ユニットの2両のみとし、他車を集中型としました。
* * *
Tomixさんから HG仕様の JR 103-1200系通勤電車完成品
が発売されるようですが、特定の プロトタイプ や フル編成、
HG仕様にはこだわらないのと、昔の"ファジーな製品群"に
慣れ親しんでいることもあって、自分で工作した車両を今見
ても、ぱっと見、違和感も感じないことから(個人の感想)
今後も、この工作モデルだけで、楽しみたいと思います。
(細部にこだわるとキリがありませんね・・価格も拡大し・・)
103系1200番代 ~Nモデルの工作意欲を湧かせた 走る電熱器~
おわり
中央線・総武線と、営団東西線の相互乗り入れ用として投入
された 103系1200番代 です。
当初国鉄は、地下鉄乗り入れ用として、オールアルミカーの
301系を投入していましたが、コスト等の問題から地下鉄用
の増備車は 103系でまかなう方針に変更され、千代田線用は
1000番代、東西線用は 1200番代 が 投入されたのでした。
▼JR化後、冷改・青帯 に変更された時代の1200番代車の姿

▲冷房化率100%を目指して、冷改工事の工期短縮とコスト
を抑える目的で、AU712形分散クーラーを搭載しました
千代田線用の1000番代との相違は、ATC装置とその装備方
で、1000番代にはATC装置の他、常磐線用無線と千代田線用
誘導無線電話を装備する必要がありました。
そのため、常務員室背面にこれらを「併設」することとなり、
乗務員室の奥行が「拡大」されたことから、乗務員室扉後部
の戸袋窓がありません。
一方、1200番代は ATC装置のみのが運転室内に装備された
ため、乗務員室の寸法は地上形非ATC車と変わらず、乗務員
室扉後部の戸袋窓が存在します。
両車の運転台には、ATCの車内信号 が 設けられています。
▼写真はありませんが、一時期一部の先頭車の運行番号幕が
白抜き文字に交換された車両がありましたが、他車へ普及
することなく終わっています

▲基本設計は 103系ですが、地下線用の AーA基準 に基づき、
正面に貫通路、床下電気配線のダクト化と一部機器の移設、
不燃・難燃化、客窓の非全開化 が 行われました
また モハ103の主抵抗器は自然通風式に、ATC運転に備えた
多段式制御で、無接点化されたCS40に、MGは M車比率
が高いことから小容量の10kVA化に、また湿気やホコリに強
いブレーキ部品が用いられるなど、地下鉄線での運用に特化
した装備となっていました。
▼三鷹電車区で並んだ 歴代の東西線乗り入れ車

▲晩年期は 運行番号表示が LED化 されていました
E231系800番代 は 先輩達より一回り小さく見えますね
ちなみに301系・103系側のM車率が高いのは、営団地下鉄
との協定により、起動加速度が 3.3 km/h/sと設定された為、
これを担保するために必要不可欠だった訳ですが、実はこの
値も、当初投入された301系においてM車比率を高めて何と
か辿りついたものだったらしく、以後もこれが標準的な仕様
として、用いられているようです。
* * *
主抵抗器の自然通風式は、トンネル内の騒音防止には効果的
でしたが、M車比率が高かったこともあり、停車中に床下か
ら地味に漂ってくる「熱気流」の熱さには、少々驚きました。
また、冷改後の夏場には、クーラーからの温風がトンネルの
天井から跳ね返ってくる場面も加わり、上から下から、熱を
まんべんなく発する、正に "走る電熱器" 状態となりました。
■もけい鉄 雑談
冷改&青帯仕様の103系1200番代がお目見えした時代に、
Nゲージでも再現したくなり、GMさんのキット・パーツ
と、KATOさんの 初代103系製品をベースに、雰囲気を楽
しむ「タイプモデル」の工作意欲が湧いたことから、実車
の中から6両をチョイスして、自力で誕生させたのでした。
▼それがこちらです(かれこれ四半世紀前に工作したもの)

▲三鷹方 クモハ102 の方向幕には「三鷹」を設定
運行番号はJR車の運用を示す「K」で「03K」を設定
工作基本スタンスは「タイプモデル」なので、プロトタイプ
に忠実に寄せるといった細部の作り込みは行っていませんが、
1200番台を彷彿させる姿の再現は、必須としました。
・貫通路付顔の制御車(GM 103系改造パーツを利用)
・クモハ102 の 設定(床下機器のMGは冷改後の大型仕様)
・モハ103 の 自然通風式の主抵抗器と屋根上パンタ横へ配置
されたヒューズ箱の設置
・10両化の際 組成された サハ103 の設定(フル形式を網羅)
・インバータークーラー(分散型)搭載車を一部に設定
▼想定した工作編成図

▲中間車4両は、モデラー仲間から譲渡された KATOさんの
初代103系(全て色違い)がジャンク箱で遊んでいたため
これを活用することとし、両端の制御車のみ当時GMさん
から発売されていたクハ103の高運転台2両セット(屋根
と車体が一体成型されていたキットだったかと)を追加購
入して前面を103系改造パーツで移植することにしました。
▼クモハ102-1203

▲車体・屋根・クーラー・床下=GM、台車=KATO
▼モハ103-1209

▲クーラー・床下=GM、車体・屋根・パンタ・台車=KATO
▼サハ103-430

▲クーラー・床下=GM、車体・屋根・台車=KATO
▼モハ102-1206

▲クーラー・床下=GM、車体・屋根・台車=KATO
▼モハ103-1208(モーター車)

▲クーラー・動力ユニット・床下=GM、
車体・屋根・パンタ=KATO
▼クハ103-1203

▲車体・屋根・クーラー・床下=GM、台車=KATO
▼西船橋方 クハ の方向幕には「西船橋」を設定

・塗装は GMさんの 鉄道カラースプレー を吹きました
・形式番号は GMさんのインレタ から拾い構成しました
・塗装とインレタの保護も兼ねて、クリアーを吹いています
・アップで見ると粗だらけですが、ド素人ではこんなもんで
チョイスした6両の実車のクーラーは、サハ のみが 集中型
のようですが、見た目のバラエティーさもねらったことから、
分散型のインバータークーラー搭載車は、中間に組成される
M+M´ユニットの2両のみとし、他車を集中型としました。
* * *
Tomixさんから HG仕様の JR 103-1200系通勤電車完成品
が発売されるようですが、特定の プロトタイプ や フル編成、
HG仕様にはこだわらないのと、昔の"ファジーな製品群"に
慣れ親しんでいることもあって、自分で工作した車両を今見
ても、ぱっと見、違和感も感じないことから(個人の感想)
今後も、この工作モデルだけで、楽しみたいと思います。
(細部にこだわるとキリがありませんね・・価格も拡大し・・)
103系1200番代 ~Nモデルの工作意欲を湧かせた 走る電熱器~
おわり
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