ジョイフル トレイン シリーズ VoL.26

■「ユーロライナー」~遠州鉄道1000形のDNAを持つJT~

 1985年8月、名古屋鉄道管理局向けに 12系客車を改造
 して誕生した Joyful Train「ユーロライナー」です。

 改造工事は、当時の国鉄・名古屋工場さんがご担当され、
 編成の両端には展望車、中間には個室車4両とラウンジ
 車1両の計7両で構成されました。

▼デビューを伝えるパンフレッド
PNF_ユーロライナー_国鉄名古屋
展望車はスハフ12の乗務員室側を編成内側として、その反対
側に 展望室を設けたスタイルで、展望室外観のデザインは、
改造工事に着手した前年の 1983年 に 誕生したばかりの遠州
鉄道さん ”1000形” の 前面デザインを取り入れたものでした。

(日本車両さんの H.P にも その旨の記載がございます)

▼遠州鉄道さんの クハ1500形 の DNA が入った 展望車
PNF_ユーロライナー
▲矢と盾をイメージした「EURO LINER」ロゴがオシャレ▼

スロフ12 702
(画像元:愛称別トレインマーク事典

編成中間の個室車は、室内の天井方向の高さを確保するため
屋根部分は国鉄14系寝台客車と同等の背丈となったことから
見た目は寝台車の趣となりました。

▼個室車の内部イラスト(パンフから拡大)
PNF_ユーロライナー_個室
実際車内には上部に折り畳み式の簡易寝台と着脱式のハシゴ
を設置し、4人室は座席部分と簡易寝台に、6人室では残り
2名がカーペット敷きの床で寝ることができる構造となって
いました。

▼画面左手が 個室車 の オロ12、右手が 展望車 の スロフ12 
オロ12_拡大
▲個室車の屋根の形状が大きく変更された様子がわかります

また 屋根の立ち上がり部分には天窓が設けられ、側窓も大型
の固定窓となるなど、種車が12系客車とは思えない姿に大変
身しましたが、それもそのはず、台枠から上の車体は 改造で
はなく、新造されたものでした。

▼カフェ・ラウンジ車 の 
内部イラスト(パンフから拡大)
PNF_ユーロライナー_ラウンジ
▲テーブル と イスを窓側に向けたレイアウトで、一端には
 調理作業用のカウンター、もう一端にはカラオケステージ
 が設けられていました

▼ユーロ塗装の EF64 が牽引する シュプールユーロ赤倉
ORC_EF64-66
▲ジョイフルトレインでは初めて、客車と同じカラーリング
 の専用機関車が用意され、稲沢機関区所属の EF64 66 と
 DD51 592 の 2両が 抜擢されました。

▼こちらは2代目の DD51 791号機
ORC_DD51-791
▲後に EF64 35 と DD51 1037 も ユーロ塗装機の仲間入り

JR東海さんへ移行後に、EF64 と DD51 以外にも EF65の
105,106,112号機3両もユーロ塗装をまとって活躍しました。

▼ユーロ専用機 三役揃い踏み
ORC_ユーロ3役
▲DD51 791・EF65 106 ・EF64 35 の 並び

また、ユーロ塗装となった14系座席車「ユーロピア」や自動
車積載用としたユーロ塗装のマニ44形も仲間入りし、個室車
のオロとマニを連ねた「カートレイン ユーロ名古屋」など、
新しい営業戦略の場にも活躍の場を広げていきました。

▼カートレイン名古屋 が デザインされた オレンジカード
ORC_マニ44_カートレイン_名古屋
▲自動車を積載する マニ44 の 解剖画 が 描かれていました

▼名古屋発着シュプールユーロ赤倉・志賀にも活躍しました
ORC_12_ユーロライナーシュプール号
▲国鉄 名古屋 の文字が入った シュプール号 の 宣伝オレカ

他のジョイフルトレインは、ほぼ固定化された編成で運転さ
れる機会が多かった中、ユーロ塗装をまとった一族は、増解
結が自在な客車という特性を最大限に生かして、利用ニーズ
に応じて、多種多様な組成が見られたのも特徴的でした。

▼14系座席車 と 12系個室車を混結した シュプール号の例
ORC_EF64-66_2

▼有効長が短い 飯田線 で見られた 個室車を除いた3両編成
ORC_EF58 157_ユーロライナー
▲Nゲージの 小さなレイアウトでも再現できる 実在編成例

▼個室車のオロが1両抜かれた 6両編成 で運転された例EF65 1109_ユーロライナー
▲武蔵野線の103系だけを目的に撮りに行った際、偶然出く
 わした「棚から牡丹餅」状態の場面だったと記憶しており
 ますが、気が付けば自ら記録したユーロライナーは、これ
 1枚のみに終わっていました・・

■車内概略図
PNF_ユーロライナー_車内略図
▼落成時編成
・1号車 スロフ12 701(旧スハフ12 15) 展望車
・2号車 オロ12 701 (旧オハ12 147)    個室車
・3号車 オロ12 702 (旧オハ12 148)    個室車
・4号車 オロ12 703 (旧オハ12 157)    ラウンジ車
・5号車 オロ12 704 (旧オハ12 150)    個室車
・6号車 オロ12 705 (旧オハ12 186)    個室車
・7号車 スロフ12 702(旧スハフ12 22) 展望車

2005年4月 廃車


HM_ユーロライナー
(画像元:愛称別トレインマーク事典


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--(もけい鉄 雑談)--------------------------------------------------------
我が家の Nゲージ「ユーロ」一族は、昭和時代に発売された Tomixさん の
初期製品群と、GMさんのキットを組んだユーロ塗装の マニ44 が 入線して
おりますが、まだまだ現役で活躍しております。

メインの「ユーロライナー」のセットは、4両基本セットと3両増結セット
に分割販売され、今となっては希少となった最大4両を収納できる、高さが
低いセットケースが用いられていました。Tomixさんからこのサイズで販売
された製品は限られることから、セット品を並べた棚からは、ケースに特別
な識別子を付けなくても見つけやすくなった、という利点が生まれました。
Tomix 初代ユーロ基本&増結
客車の塗装は綺麗で申し分ないのですが、初期の既製品を塗り替えただけの
EF64、DD51 の塗装は、凹凸 のあるディテール部分では、帯のカスレが目
立ち、特に 64 側はプラの質感丸出しの「トイ」っぽさが半端ない容姿です
が、この時代ならではのモデルでもあり、愛着を持って可愛がっております。
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ジョイフル トレイン シリーズ VoL.26

「ユーロライナー」~遠州鉄道1000形のDNAを持つJT
おわり