キハ80系 快速「スリッピ」号 ~ホームのない場所で乗降する列車~

札幌 - 小樽博会場前(臨時駅)間を結んだ、臨時快速列車
「スリッピ」号です。

1984年に小樽市制60周年記念事業の一環として、小樽博覧
会が開催され、会場とのアクセス列車として運転されました。
(運転期間:1984年6月10日 から 1984年8月24日 まで

▼小樽博会場前駅に停車中の 快速「スリッピ」号
ORC_キハ82_快速スリッピ_0
正式な駅名は「小樽博覧会会場前 臨時乗降場

駅とは名ばかりで、博覧会会場に近接する小樽築港の旧貨物
支線上に停車して、仮設のプラットホームすらない場所で、
乗降には扉部分に鉄製の階段が据え付けられるだけの簡便な
乗降場でした。


「スリッピ」という名は、小樽博覧会のマスコットの愛称で、
小樽の「小」の字をモチーフにした「海鳥の親子」で、3羽
の「スリー」と、「平和・港(
埠頭や波止場)・人々」の、
英語読み「ピース・ピア・ピープル」を合わせたネーミング
とされています。

▼ヘッドマークにも用いられたマスコット「スリッピ」
スリッピ_キャラクター&サボ
▲右のサボは、臨時列車に掲示されたホーロー製の 横サボ

快速「スリッピ」は、キハ80系3往復の他、DD51牽引 の
14系客車による列車も1往復半 (0.5往復は回送) 運転され、
こちらは寝台車が連結されたままの夜行急行列車の編成を、
そのまま運用していたようです。


▼"懐かしの列車" として オレカに登場した「スリッピ」号
ORC_キハ82_快速スリッピ
(当記事の一番上の写真は この オレカ のもの)

博覧会の後援には「日本国有鉄道」も名を連ねており、道
内主要駅から小樽駅・小樽築港駅までの乗
車券と博覧会入
場割引券をセットにした「小樽博きっぷ」や
記念入場券」
販売され、快速スリッピを含む夏季の臨時列車が約200
本運転されました。



          *  *  *


国鉄は会場での出展も行った他、会場に近接する小樽築港機
関区でディーゼル機関車展示会も同時に開催し、7月14日に
は、青函連絡船「十和田丸」を、小樽港に寄港させました

▼国鉄時代の 青函連絡船「十和田丸」(2代目)
絵葉書_十和田丸
(青函船舶鉄道管理局 発行の絵葉書から)


優等列車の末端区間を、普通列車、快速列車として運転

列車を除いて、
当時の国鉄が突発的な救済等、特殊な事情で
運行する料金不要の列車以外で、予め計画的に特急形車両を
充当するのは、珍しい出来事だったと思います。


キハ80系 快速「スリッピ」号 ~ホームのない場所で乗降する列車~
おわり