Nゲージ・魅惑の珍車(キヤ92) ~宮沢模型キットモデル~

キハ07 の改造で誕生した "電気検測試験車" を 名乗る始祖
となった キヤ92 の Nゲージキットモデルです。

モデルは宮沢模型さんから販売されたキット製品を組み上
ながら、どう見ても実車に似つかわない部分に対しては、
を加えながら完成させた一品であります。
キヤ92_00
小生自身は、老眼とおぼつかない手先ではハンダ付けの伴う
キットの組み立てはもう無理なことから、組み立てから塗装
までの実作業は、プロの職人さんに託すことにしたのでした。

ただ丸投げではなく、組上がりの途中経過をにらめっこしな
がら「時代設定はいつをターゲットにしておく?」、「素組
だとこうなってしまうけど、実車はこうでどこまで寄せる?」、
キヤ92_000
「私はここがどうしても気にいらないのでこうしたい・・」
など、要所要所での情報交換を行い、双方向での決断を下し
ながら、お互い満足のいく作品構築を目指したのでした。

なお、動力ユニットを組み込む前提としたことから、車内
表現は一切割愛しております。

▼屋根上で整備?を受けている実車写真
キヤ92_鉄道総研
▲扉が開いた箇所から観測ドームに上がる階段が見えますね

 ( 出典:(公財)鉄道総合技術研究所ウェブサイト )


それでは、このモデルの主だったディテールに焦点をあて、
完成したモデルを眺めていこうと思います。

▼前位側:観測ドームが設置されている側から
キヤ92_10
車体のプロポーションは、種車の面影満載ですが、屋根上
は「電気検測車」のオーラを放ちます。

キヤの特徴である「観測ドーム」は、前後左右に全部で6
枚の窓が設けられており、
モデルも窓部分は打ち抜かれた
状態で再現されています。

▼観測ドームを横から見る
キヤ92_06
▲前位側の台車は TR49 形式

▼観測ドームを前方斜め上から見る
キヤ92_09
▲ドーム横には屋根上ランボードに続く手すりがあります

▼観測ドームを横から見る

キヤ92_08
▼観測ドームを後方斜め後ろから見る
キヤ92_07
▲観測ドームの実車寸法は、レール方向の長さは 2000mm 

昔 Tomixさんから販売されたクモヤ193の観測ドームの窓
は、
モールド表現だけで、窓は抜けていなかったですね。
上から見る頻度が高いモデルでは、やはりこの部分のディテ
ールは、手抜かりがない方が望ましいです。

各扉横の把手も、立体的で浮いている造作が魅力的です。

前位側前面はライトを含めてオリジナル車のいいお顔です
キヤ92_01
▲デフロスターとワイパーを加えたことでより引き立ちます

このキットをそのまま素組すると、ヘッドライトはとんでも

ない大きさの直径で造形されており、顔が台無しとなるため、
ライト部分は無からの作り直しを決断、屋根との接合部分を
含めて整形手術する別工事を施工しております。
キヤ92_76
なお尾灯については、実車が「着脱式」であったため、前位
側は「尾灯なし」の姿とし、後位側を「尾灯あり」の設定に
決めましたが、尾灯の点灯化にこだわったため、導光材を通
す構造上、吊り下げ式の造作は諦め、パイプを車体に埋め込
んだ姿にした点が実車とは異なる部分です。

▼側面各種表記と中央扉(1)
キヤ92_20
両端の扉は種車のプレスドアーのままですが、観測ドームを
左手にした片側の中央扉のみ 1000mm 幅のものに交換され、
扉の下部は床面までとなっています。扉の下に見える黒い溝
は、ステップの一部として設けられたもので、モデルもこれ
らが
再現されています。

こちらサイドの屋根上には、観測ドームの手前まで伸びる
長いランボードが鎮座し、そのサイドがよく見えます。


▼側面各種表記と中央扉(2)[上の写真とは反対側の側面]
キヤ92_50
▲こちらの中央扉は オリジナル の 850mm 幅 プレスドア。
 各種表記も「国鉄フォント」で 美しく再現されています

こちらサイドの屋根上には、ベンチレーターが鎮座してます。


次は 最大の見せ場である、パンタグラフの装備を眺めます。

▼後位側:検測用パンタが設置されている側から
キヤ92_31
こちらの屋根は低屋根化され、検測用の下枠交差式パンタ
グラフを3基搭載しています。

検測用パンタを見る(1)
キヤ92_52
▲パンタはキット付属のものを組み上げ着色しています

検測用パンタを見る(2)
 各パンタの中心線に位置する雨樋側には、観測窓が設けら
 れて
おり、屋根上の踏板もこの部分が切り取られている、
 特徴ある
造形です
キヤ92_53
▲ところがです、なんとこのキットで提供される屋根板には
 この表現が一切なかったのです。よってこの部分は大手術
 によって生み出された、手作りのディテールとなります。

検測用パンタを見る(3)
キヤ92_81
実車におけるパンタ位置は、前から1基目と2基目の中心距
離は 1860mm、2基目と3基目の中心距離は 2560mmで、
いずれも台車の中心位置に一致するものがない設置方です。


検測用パンタを見る(4)
キヤ92_54
▲屋根中央付近にパンタに向けて投光器が設置されています

▼モデル上も実際に投光する白色LED装備仕様としました
キヤ92_58
▲動力通電時に点灯する回路のため 画面が流れ恐縮です・・

実車における3基のパンタは、全て検測用でそれぞれ上昇
圧が異なるそうです。実際の検測時には検査の目的に応じ
て、一基だけを上昇させたそうですが、モデルの世界では
ご愛敬ということで・・。

検測用パンタを見る(5)
キヤ92_55
▲パンタを投光器背後側から

投光器内の LED へ通電する結線も気にならない仕上がりに!

検測用パンタを見る(6)
キヤ92_59
▲やはりパンタ観測窓の存在が重要ですね・・
 交流2万V対応の背が高い碍子もよいアクセントです

後位側の台車は DT19 形式。
扉横裾には自重や全検表記をそれらしく表現しております。

▼後位側の前面

キヤ92_61
▲キットで提供されるヘッドライトは 通常の キハ07 が
 装備する径の大きいもので、設置台も異なることから、
 銀河モデルさんのSL用シールドビームの補助灯に変更
 するとともに LED点灯化、設置台も作り変えています。

▼投光器の点灯にとどまらず、両端のヘッドライトと、
 後位側の尾灯も、
点灯化といたしました
キヤ92_87
▲これで検測の情景も、より一層盛り上がり バッチリです!
  (部屋の光の当たり具合で車体の色合いが違って見えますね・・)


最後に、床下機器です。

エンジン、ラジエーターは、鉄コレ 第13弾からチョイス、
機器配置も実車のイメージから受ける印象に近づけました。

余談ですが、キハ07 の後に登場した キハ10・20・30 など
の両運転台車両は、前位側にディーゼル機関と動台車が装備
されておりますが、キハ07 は 後位側に装備されているとい
うことが、モデルを組んで知りました。

▼大手メーカーさんの動力車で一体成型される床下機器の
 表現より、やはり背後が抜ける個別の造作が好ましいです
キヤ92_床下
▲機関は DMH17C、液体変速機は TC2
 キハ07 は 床下排気なので、排気管もはわせればより忠実

 なのですが今回は見送りました。気が向いたら施工します。

動力ユニットは、宮沢さんの指定ではGMさんの DT13 で
したがこれは却下し、トミーテックさん
の TM-15 を採用
しました。理由は台車形状が異なるためで、実車がキヤへ
改造された際、DT19 と TR49 に 交換されている事から、
この形状へこだわりました。
こだわりの代償として、キット付属の床下機器の
高さが合
わなくなり、各機器の土台を削る微調整が伴っております。



以上、ザックリですが、キヤ92(宮沢模型さん)モデルの
ご紹介でした。
キヤ92_62
プオ~ン、出発進行!

▼最近新設したモジュールで試運転中の キヤ92 モデル
キヤ92_88
▲単行で入線する線区を問わないのが事業用車の良いところ
 (事業用車好きの小生には たまらない容姿です・・)


          *  *  *


先輩のクモヤ93 や クモヤ495 などの「架線試験車」や 東海
道新幹線の922形T1編成の「電気試験車」(架線以外に変電
・信号・通信も含めた検査が可能)においては、トロリー線
の摩耗を自動測定することは、まだ叶っておりませんでした。

在来線の電気試験車の開発において、架線以外の信号設備な
どの検査を可能とする場合、電車だと自走が電化区間しかで
きない事、また検測目的以外の集電用パンタが必須となる上、
交流直流の意識(対応する設備の装備)がつきまとうなどか
ら、車種は気動車による試験車が最適と判断されました。

▼本線を走行する キヤ92 現役時代の姿
キヤ92_本線走行
 (出典:とれいん 1998.4)

そんな中、長年の研究によって光量式の測定装置を用いた
トロリー線の摩耗測定に実用化の目処が立ち、この装置と
信号設備の検測装置を一緒に搭載した キヤ92 が 1969年
に誕生することになったのでした。
キヤ92_11
車内にはデータ処理装置や不良箇所を印刷するプリンター
も装備し、晴れて キヤ92 の側面には電気検測試験車」
と記されたのでした。


          *  *  *


今回は宮沢模型さんのモデル と 戯れましたが、別の機会
に、まさかのプラ完成品 キヤ92 をイベント会場で限定販
売したマイクロエースさんのレアモデルと並べて、宮沢模
型さんとの相違点などを探ってみようと企んでおります。

▼左:宮沢模型さん 右:マイクロエースさん限定モデル
キヤ92_89
(レポート時期はまだ未定でございます・・)


Nゲージ・魅惑の珍車(キヤ92)  ~宮沢模型
キットモデル~
おわり